この記事について
記事を読むのが面倒な方は、動画もつくりましたのでそちらをどうぞ。記事を読んでいただける人も合わせてどうぞ。基本的にはこの記事の内容ベースに動画作成していますが、要点だけをまとめているので分かりやすくなっていると思います。
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プレイリスト:巻き舌の習得方法
小さい頃周りに、意味もなく「ドゥルルルル…!」といった具合に舌で音をならしてる子いませんでしたか?(…いましたよね?)
あれを一般的に「巻き舌」と言います。
ちなみに英語だと「Trill Rs」、音声学的に言えば「歯茎ふるえ音」だそうです。
掲題のとおりこの記事では、僕が巻き舌を習得したやり方について記していきます。
その際の途中経過もなるべく細かく記していくので、巻き舌が出来ずに悩んでいる人の助けになればと思います。
なお、実際に習得した方法については、かなり後半に記載されているので『お前の過程なんか知りたかねーよ』という方は「巻き舌の習得方法」から読んで行ってください。
※途中経過の音声データも入れますので、お聞き苦しいかもしれませんが我慢してください。むしろ聞かなくてもOKです。
※万人にこの方法が当てはまるかはわからないので、その点はご了承ください。
ロシア語のрの発音について
そもそも僕が巻き舌習得に至った経緯として、ロシア語の勉強を始めたからです。ロシア語初学者のなかで、一部の人があたる壁というものがあります。
御察しのとおり「р」の発音です。(英語の「P」じゃないですよ)
ロシア語にはこの「р発音」があるのですが、これは巻き舌を使用した「ェる」といった感じ。
しかし僕は巻き舌ができませんでした。アルファベットの発音はどの語学においても初歩です。つまり僕は学習の入り口から壁にぶち当たったのです。
ロシア語のр発音を聞きたい方は以下の動画をどうぞ。
ガルパンと迷いましたが、舌の巻き具合が本場だと違うので。
巻き舌音が発生する原理
自分ではできないなりにも、どういう原理で巻き舌音が発生しているのかは理解しています。
舌を口蓋に付けることで口内を密閉状態にし、そこに空気(息)が流れることで舌先から空気が外に逃げる時に破裂音がし、舌は自身の弾性で元の位置にもどり、再び空気が…
と文字で説明するとややこしいですね。
別の説明に置き換えると、唇を閉じた状態で強く息を吹くと「プルルルル…」といった連続した破裂音をだせる。これの舌バージョンという感じ。
ではなぜ僕は巻き舌が出来ないのか。
明確な理由はわからないが、何となく自分で「舌が分厚い。さらに柔軟性に欠けている」という感じがする。
それが原因で、うまく舌が震えてくれないと推測。
イメージはこんな感じ。
・強風で旗がバサバサとなびいて、風をいなしている。→巻き舌ができる人
・強風だが頑丈で重い扉がしっかりと鎮座し、隙間から風がすり抜けるのみ。→巻き舌ができない人
つまり巻き舌を習得するには以下のようなことが必要と言うことになる。
・吐く息を舌が震えるのに必要な風速まであげる
・舌を柔らかくする
・舌を柔らかくする
巻き舌習得方法の模索
googleで調べてみると、だいたい以下の3つが習得方法として記載されている。1.「さっぽろらーめん」と言いつづける
2.思いっきり息を出しながら「る!」と言う。これを舌が震えるまで繰り返す
3.「pru, pra, pru, pra,…」「tru, tra, tru, tra,…」「ara, oro, ara, oro,…」という順で練習する
2.思いっきり息を出しながら「る!」と言う。これを舌が震えるまで繰り返す
3.「pru, pra, pru, pra,…」「tru, tra, tru, tra,…」「ara, oro, ara, oro,…」という順で練習する
僕は、3番目の方法を実践してみることにした。
理由としては、黒田龍之介という言語学の先生がこのやり方を紹介しており信頼できそうなこと(はじめての言語学)。また、僕がロシア語の教本として購入した「ニューエクスプレス プラス ロシア語」は黒田龍之介 著であったためだ。
※結果だけ先に記してしまいますが、上記1,2,3以外の方法で習得しました。でも3の効果も少なからずあったと思う。
結果記録の日々
これより巻き舌練習結果の記録を記していきます。基本的に毎度の変化は見えませんが、一応全ての音声を載せます。変化があったり、何かインフォメーションがある箇所は日付を太文字にしますので、それだけ聞けばだいたいの成果はわかります。
8月20日:巻き舌の練習開始宣言、巻き舌の現状と練習方法の説明
8月21日
8月22日:練習の様子を説明
8月24日
8月26日
8月27日
8月29日
8月31日:僅かな変化
9月1日
9月2日
9月3日
9月4日
9月5日
9月6日:
この段階で今までの巻き舌練習に加え、新しいことを始めた。
その方法はこの結果記録が終わってからの、「巻き舌の習得方法〜第1の転機〜」で記します。
9月9日
9月10日
9月11日:わかりづらいが、若干変化が見え始める
9月12日
9月13日
9月18日
9月19日
9月20日
9月21日
9月22日:連続した巻き舌の兆候が見え始める
(これ以降、巻き舌が徐々にできはじめていく。)
音声内にある「新しいやり方」もこの結果記録が終わってからの、「巻き舌の習得方法〜第2の転機〜」で記します。
9月24日
9月25日
9月26日
10月1日
10月3日
10月4日
10月5日
10月8日
10月10日:一旦「巻き舌できますよ」というところまで行った
お耳汚しをしてしまい申し訳ありません。
そして長らくお待たせしました。やっとここからが本編です。
僕が巻き舌を習得する段階において、2つの転機がありました。
巻き舌の習得方法〜第1の転機〜
9月6日この日から今まで行なっていた練習(8月22日音声参照)に加え、とあることを取り入れました。
それは「舌に震える感覚を覚えさせるトレーニング」です。
具体的なやり方を説明していきます。まずは下の図をご覧ください。

これは僕の口内の図です。(レントゲンを撮ったわけではないので、舌で触った感覚で書いています)
僕の口内は、上歯茎の裏から硬口蓋に繋がり、そこから硬口蓋にお皿を逆さにしたような窪みがあり、軟口蓋へと続いています。
(他の人はどうなのだろうか?とにかく僕の口内はこうなっています)
※口蓋を舌なぞって行き、硬い部分が「硬口蓋」、柔らかくなるところからが「軟口蓋」
次に巻き舌をする際の、舌の位置についてです。
дやт(英語だとDやT)の音を出すときには、だいたい下図のように、上の歯の裏あたりに舌を当てて音を出しますよね。
まずこの状態で「ドゥドゥドゥドゥ…」と音を出してみてください。

そのまま舌を硬口蓋の奥の方へ移動させて行くと、少し音が変わってきます。
「ドゥドゥドゥドゥ…」→「ドゥィドゥィドゥィドゥィ…」みたいな。
実際の音声を載せておきます。
僕の口内図でいうと、硬口蓋の窪みに入って少しってところです。
この辺りが巻き舌をする際の位置です。

次に用意していただきたいものがあります。
綿棒です。
舌を所定の位置に付け、舌裏の真ん中あたりに綿棒を軽く押し付けます。

その状態で先ほどの「ドゥィドゥィドゥィドゥィ…」を言いながら、綿棒を左右に振ってください。
この時に気をつけることは、綿棒で舌裏を擦るのではなく、”一箇所に当てた状態”で左右に振るということです。
正面図はこんな感じ。

これをするとあら不思議。
綿棒の力で舌が振られて、「ドゥリドゥリドゥリドゥリ…!」という、ドラムロールをちょっと不器用にしたような音が出ます。
実際の音声を載せておきます。
※これ自体はいわゆる巻き舌ではありません。
このトレーニングを行うことで、舌が震えの感覚を覚えると同時に、舌が柔らかくなります。
舌が柔らかくなれば、更に舌は震えやすくなり…といった具合に相乗効果が得られるのです。
そして何よりも『自分の舌もちゃんと震える能力があるんだ!』という感動を得られるのが大きいです。
巻き舌の習得方法〜第2の転機〜
9月22日この日は友人に巻き舌について色々と質問していたのですが、そのなかで気になる発言がありました。
それは『巻き舌続けてるとやっぱ疲れるね』というものでした。
巻き舌ができない僕からすると「え。巻き舌って息吐くのが辛いだけで、筋肉とかいるの?むしろ舌をリラックスさせるんじゃないの?」という驚きがありました。
詳しく聞いてみたところ、彼のやり方だと『喉を絞る』というのだ。
これがどういうことか説明するにあたり、皆さんは「ベルヌーイの定理」というものをご存知だろうか?
難しい説明はさておき、これは「流量一定だったら断面積が狭い方が流速が速い」ってなことで、
つまり出口の断面積が狭ければ、空気が速く流れるようだ。
これを巻き舌の際に「喉を絞る」という点で考えてみると
気道から空気が流れてきて、喉を通って舌の上を通り外へ吐き出される。
つまり喉を絞ると、気道より喉の断面積が狭くなり、そこで空気の速度が増すということみたい。
簡単にイメージするとしたら、「はー」と息を吐くより、「ふー」と息を吐く方が勢いありますよね。
それを喉で行うイメージ。
うーん。巻き舌の説明でこんな難しい話になるとは思わなかった。
さて、喉を絞るということで早速実践してみた。
が、何事もそう上手くは運ばず、この段階では喉を絞るだけでは巻き舌にはならなかった。
しかし、面白い発見をしたのであった。
様々な喉の絞り方を試していたところ「喉を震わせる」という技術に辿りついたのだ。
「喉を震わせる」事で何をするのかと言うと、『喉を震わせて、その振動で舌を震わせる』のです。
やり方を説明するにあたり、少し汚い表現になってしまうが、「喉に溜まった痰を吐き出す」事をイメージしてみてください。
痰を「ゴァッ!」って喉から出そうとする時、喉(軟口蓋の最後方)が震えていませんか?
(痰を出すとかよくわからない方は、イビキをかいて寝る演技?をするときの、喉近くでならす「ゴガァー」みたいなのをイメージしてください)
実際の音声を載せておきます。
※非常に汚くお聞き苦しい音なので、ご注意ください。
喉(軟口蓋の最後方)が震えていますよね。
そしてその際、舌の奥の方で喉の震えを感じませんか?

その痰を吐き出すときの喉の震えが舌に伝わり、その状態で舌先が所定の位置にあると…。
喉の震えにつられて、舌全体が震えるのです。
実際の音声を載せておきます。
※これまたお聞き苦しい音なので、ご注意ください。
僕はこれを「痰吐き吐息法」と名付けました。(自分でも汚すぎると思うので、誰か名前のアイデアください)
※これ自体はいわゆる巻き舌ではありません。でもあともう一歩です!
この方法で舌が震える感覚をつかめば、巻き舌はもう目前です。
舌が震えを覚えてくると、あとは段階的に
・痰を出すような汚さは弱めるが、やはり空気の通りは狭めておき、舌全体を震わせてみる
↓
・舌全体でなく、舌先だけを震えさせるイメージでやってみる
↓
・舌先だけ震わせることができるようになる
↓
・巻き舌を習得!!
巻き舌を習得!!
ロシア語学校の方に聞いたやり方
さて、先日ロシア語能力検定試験4級を受けてきました。その際にロシア語学校の方に、どのように巻き舌を練習するのかを質問してみました。すると帰ってきた答えはやはり。
・ドゥドゥドゥドゥ…と言いながら、一気に息を吐くことで舌先が震える
・「さっぽろらーめん」とめちゃくちゃ早く言う
・「さっぽろらーめん」とめちゃくちゃ早く言う
やはり「これなら一発です!」ってのはなさそうですね。
ただ巻き舌を習得してから思うことは、
・ドゥドゥドゥドゥ…と言いながら、一気に息を吐くことで舌先が震える→舌に震えを覚えさせる
・「さっぽろらーめん」とめちゃくちゃ早く言う→舌を柔らかくする
という感じに、方法は違えど、目的は同じみたいですね。
そして巻き舌について質問した僕に、ロシア語学校の方が教えてくれた大切なことがあります。
日本人(ご多聞にもれず僕もですが…)はр発音、つまり巻き舌の出来不出来をやたらと気にする傾向にあるそうです。ですがそこに固執しすぎては欲しくないとのこと。
というのも、р発音には巻き舌を長めに使用する場面と、1回だけ巻けば十分な場面とがあり、長く巻き舌を続ける場面の方が少ないそうです。
むしろ巻き舌より大切なことは「きちんとлとрの発音を使い分けること」だそうです。
なるほど、為になります。
(とはいえ巻き舌でしっかりとр発音出来るとカッコいい気がするんですよね…。ああ、なんて日本人…)
最後に
さて。僕は今まだ「ただ巻き舌ができるようになった男」というステータスです。このあと僕は「巻き舌を使ってрの発音ができる男」にならなければなりません。
そこまでの道のりはまだ長そうですが、これも少しずつ練習していきます。
まだ巻き舌ができない方も、やればかならず習得できるはずです。
僕のやり方が必ずしも万人に当てはまるかはわかりません。
ただ、継続してやっていかなければ身につかないのも事実ですので、根気強くいきましょう。
追記 2020/04/28
最後の挨拶も済んでるのに「今更かよ!」という話なのです、1つコツというか、情報を載せておきます。「巻き舌の習得方法〜第2の転機〜」にて気道をすぼめる事で空気の流れを早くする事を説明しました。それに加えてなのですが、試しに「鼻をつまむ」という行為を加えてみてください。これは、息を吐き出す時に、空気が鼻の方にも流れて行ってしまうためです。それを防ぐことで、口からでる空気の量が増します。
実はこの情報は動画内でのみ紹介されており、こちらには記していませんでした。しかし動画のコメント欄にて「鼻をつまんだ瞬間にできた」という声が多かったので、こちらにも追記することにしました。
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ありがとうございます
この記事10分でコツをつかめました!
最初の1 2 3ではだめでしたが
最後の最後の痰吐き吐息法が功を奏しました
幼少期にはできてた思い出がありましたが、いざ大人になってやろうと思うとできないもので、なんだかヤキモキしていましたが解決できそうです。
はじめまして。
この記事のおかげで、私も読後5分で巻き舌ができるようになりました。
とくに綿棒を使ったトレーニングと「喉を絞る」のがよかったです。
すごく嬉しかったので、私のブログでも記事にしてご紹介させていただきました。
https://midoriiro.net/bhhindo-r
筆者さんが52日間試行錯誤してくださったおかげです。
記事にしてくださり、ありがとうございました!